この記事の情報
全国と都道府県の件数は警察庁「犯罪統計資料」(令和7年1〜12月分の確定値と令和8年1〜8月分の暫定値)と「令和7年の犯罪情勢」、東京都の件数は警視庁「東京の犯罪(令和7年版)」と「区市町村の町丁別、罪種別及び手口別認知件数」、車名や時間帯は日本損害保険協会「第27回 自動車盗難事故実態調査結果」、対策は警視庁の防犯ページとトヨタ自動車のよくある質問を、2026年9月24日に確認して書いています。割合や差は当サイトが計算した値です。防犯グッズの型番や価格は載せていません。
朝、出かけようとして駐車場へ行ったら、車がない。自動車の盗難は件数でいえば自転車盗よりずっと少ない犯罪です。それでも、1台が数百万円の財産で、通勤や送り迎えの足でもあるため、一度の被害で失うものが大きくなります。
この記事では、まず警察庁と警視庁の統計で「どこで、どれくらい盗まれているか」を確かめます。次に、日本損害保険協会の調査で「どんな車が、いつ盗まれているか」を見ます。そのうえで、警視庁が紹介しているリレーアタックとCANインベーダーという2つの手口の仕組みと対策、盗難防止装置、駐車場の選び方、盗まれたときにすることを順に整理します。盗む側がまねできるような手順の説明はしません。

この記事の要点
- 令和7年に全国で認知された自動車盗は6,386件。前年より306件、5.0%増えました
- 件数が多いのは愛知県の1,051件で、上位6府県で全国の63.6%を占めます。東京都は164件で11番目です
- 令和8年1〜8月は全国で2,547件と、前年の同じ時期より45.8%少なくなっています(暫定値)
- 東京都の自動車盗の32.3%は、エンジンキーが差し込まれていたか、運転席などに鍵が放置されていたものでした
- 保険金が支払われた車両盗難の60.2%は夜10時から朝9時のあいだで、車名ではランドクルーザーが30.0%を占めます
- 警視庁は、キーを抜いてドアロックする、複数の盗難防止装置を組み合わせる、防犯カメラや照明のある駐車場を選ぶ、の3つを勧めています
- リレーアタックには電波を止める方法、CANインベーダーにはタイヤロックやハンドル固定装置など物理的な対策が勧められています
全国の自動車盗は年6,386件。前年より5.0%増えた
警察庁の犯罪統計資料(令和7年1〜12月分の確定値)によると、令和7年に全国で認知された自動車盗は6,386件でした。令和6年の6,080件から306件、5.0%増えています。検挙件数は令和7年が2,379件、令和6年が2,683件でした。
警察庁は自動車盗を、侵入盗、ひったくり、すりと並べて「重要窃盗犯」に数えています。さらに「令和7年の犯罪情勢」では、「盗品が海外へ不正に輸出されるなどの組織的窃盗・盗品流通事犯が発生しており」、その犯罪収益が「治安上の大きな課題となっている」と書いています。自動車盗は、たまたま鍵が付いていた車を持ち去るような事件だけではなく、組織的な犯罪の一部として扱われているということです。

都道府県別。愛知県が1,051件で最も多い
同じ統計から、令和7年の認知件数が多い都道府県を並べると次のとおりです。
| 順 | 都道府県 | 令和7年 | 令和6年 | 増減 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 愛知県 | 1,051 | 866 | +185 |
| 2 | 埼玉県 | 756 | 781 | −25 |
| 3 | 神奈川県 | 649 | 536 | +113 |
| 4 | 茨城県 | 540 | 567 | −27 |
| 5 | 千葉県 | 539 | 706 | −167 |
| 6 | 大阪府 | 526 | 417 | +109 |
| 7 | 群馬県 | 323 | 274 | +49 |
| 8 | 栃木県 | 291 | 318 | −27 |
| 9 | 静岡県 | 221 | 79 | +142 |
| 10 | 岐阜県 | 173 | 127 | +46 |
| 11 | 東京都 | 164 | 223 | −59 |
愛知県の1,051件は全国の16.5%にあたります。上位6府県の合計は4,061件で、全国の63.6%です。自動車盗は全国に均等に起きているのではなく、愛知県と首都圏の周辺、大阪府に集まっています。東京都は164件で、全国の2.6%でした。

令和8年1〜8月は前年の同じ時期より45.8%少ない
令和8年1〜8月分の犯罪統計資料(暫定値)では、全国の自動車盗は2,547件でした。令和7年1〜8月の4,697件より2,150件、45.8%少なくなっています。件数の多い都府県でも、そろって減っています。
| 都府県 | 令和8年1〜8月 | 令和7年1〜8月 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 愛知県 | 325 | 790 | −58.86% |
| 大阪府 | 285 | 401 | −28.92% |
| 埼玉県 | 261 | 545 | −52.11% |
| 千葉県 | 254 | 368 | −30.97% |
| 茨城県 | 215 | 413 | −47.94% |
| 神奈川県 | 211 | 536 | −60.63% |
| 東京都 | 90 | 116 | −22.41% |
ただし、これは8か月分の暫定値です。年の後半に件数が増えることもありますし、減った理由も統計からは分かりません。大阪府の285件は、令和7年1年分の526件の半分を超えています。減っているからといって、対策をゆるめてよいという話ではありません。

東京都の自動車盗は令和7年に164件
警視庁の区市町村の町丁別、罪種別及び手口別認知件数から、都内の自動車盗と、関係の深い車上ねらい、オートバイ盗を年ごとに並べました。
| 年 | 自動車盗 | 車上ねらい | オートバイ盗 |
|---|---|---|---|
| 平成31年・令和元年 | 122 | 2,585 | 1,134 |
| 令和2年 | 96 | 1,864 | 995 |
| 令和3年 | 191 | 1,675 | 722 |
| 令和4年 | 179 | 1,668 | 834 |
| 令和5年 | 190 | 1,724 | 1,216 |
| 令和6年 | 223 | 1,688 | 1,250 |
| 令和7年 | 164 | 1,759 | 1,623 |
| 令和8年1〜8月 | 90 | 1,239 | 1,140 |
自動車盗は令和6年の223件がこの7年でいちばん多く、令和7年は59件少ない164件(26.5%減)でした。一方、車の中の物を盗む車上ねらいは1,759件と、自動車盗の10倍以上あります。都内に住む人にとっては、車ごと盗まれるより、車の中の物を盗まれるほうがずっと身近な被害です。


23区と多摩の違い
| 地域 | 令和6年 | 令和7年 | 令和8年1〜8月 |
|---|---|---|---|
| 23区 | 159 | 104 | 54 |
| 多摩 | 63 | 60 | 36 |
| 島しょ | 0 | 0 | 0 |
令和7年の164件のうち、104件が23区、60件が多摩でした。23区は前年の159件から大きく減り、多摩は63件から60件とほぼ横ばいです。

区市町村別。足立区が28件で都内の17.1%
令和7年に3件以上あった区市町村を、多い順に並べました。
| 区市町村 | 令和6年 | 令和7年 | 令和8年1〜8月 |
|---|---|---|---|
| 足立区 | 29 | 28 | 7 |
| 板橋区 | 4 | 9 | 2 |
| 世田谷区 | 13 | 8 | 2 |
| 八王子市 | 7 | 7 | 7 |
| 大田区 | 3 | 7 | 2 |
| 江戸川区 | 33 | 7 | 3 |
| 町田市 | 11 | 7 | 4 |
| 東久留米市 | 1 | 6 | 0 |
| 葛飾区 | 12 | 6 | 0 |
| 北区 | 9 | 5 | 0 |
| 調布市 | 7 | 5 | 0 |
| 青梅市 | 2 | 5 | 0 |
| 杉並区 | 4 | 4 | 0 |
| 清瀬市 | 1 | 4 | 1 |
| 中央区 | 2 | 3 | 0 |
| 中野区 | 1 | 3 | 2 |
| 墨田区 | 5 | 3 | 3 |
| 新宿区 | 4 | 3 | 5 |
| 東大和市 | 0 | 3 | 0 |
| 港区 | 3 | 3 | 1 |
| 福生市 | 1 | 3 | 1 |
| 荒川区 | 2 | 3 | 1 |
足立区の28件は、都内164件の17.1%にあたります。江戸川区は令和6年の33件から令和7年は7件に減りました。反対に、令和7年に0件だったのは台東区、武蔵野市、三鷹市、小平市、日野市、国分寺市、羽村市、西東京市、檜原村、奥多摩町と、島しょの9町村です。区ごとのほかの犯罪の件数は、足立区の治安、江戸川区の治安、板橋区の治安、世田谷区の治安の記事と、東京都の治安ランキングにまとめています。

東京の自動車盗の32.3%は、キーが車にあった
警視庁の「東京の犯罪(令和7年版)」には、次の一文があります。「オートバイ盗の32.9パーセント、自動車盗の32.3パーセントの被害はエンジンキーが差し込まれていたか、運転席等に鍵が放置されていたものです。」
都内で盗まれた車の約3件に1件は、特別な機器を使うまでもなく、キーがそこにあった車でした。コンビニに寄る数分、荷物を家に運び込むあいだ、子どもを送り届けるあいだ。短い時間だからとエンジンを掛けたまま、キーを置いたまま離れる場面は、多くの人に覚えがあるはずです。
警視庁は「自動車盗」の防犯対策で、「短時間でも車両から離れる時は、完全に窓を閉め、必ずキーを抜きドアロックをしましょう。」と書いています。警視庁の注意喚起のチラシにも「犯人は、持ち主が車を離れる時を待っているかもしれません。」とあります。お金をかけずにできる、いちばん効果の大きい対策です。

キーを抜く習慣を続けるための工夫
- 車を降りるときは、先にキーを手に持ってからドアを開ける順番に決める
- エンジンを掛けたまま車から離れない。荷物の積み下ろしでも一度エンジンを切る
- スペアキーを車の中に置かない。ダッシュボードやサンバイザーも同じです
- 家族で車を共有するときは、キーの置き場所を玄関の外から見えない場所に決めておく
- スマートキーは玄関の近くに置かない(理由はリレーアタックの節で説明します)
自宅の駐車場や、よく知っている店の駐車場ほど気がゆるみます。場所で判断せず、車から離れるときは必ず同じ動作をする、と決めておくのが続けるこつです。
損保協会の調査で見る「どんな車が、いつ」
日本損害保険協会は、「第27回 自動車盗難事故実態調査結果」を公表しています。協会のページによると、この調査は「全国で発生した自動車盗難事故で、車両保険金をお支払いした事案を対象としたもの」です。調査対象は協会の会員でない会社を含む21社で、2023年から2025年の事案をまとめています。
警察の統計が「届け出のあった件数」なのに対し、こちらは「保険金を支払った件数」です。車両保険に入っていない車は入らないので、2つの数字は一致しません。ただ、車名や時間帯、年式、1件あたりの金額など、警察の統計にはない情報が載っています。
保険金が支払われた件数が多い都道府県
車両本体の盗難で保険金が支払われた件数(2025年)が多い都道府県は、次のとおりです。
| 順 | 都道府県 | 件数 | 割合 |
|---|---|---|---|
| 1 | 愛知県 | 622 | 22.7% |
| 2 | 埼玉県 | 306 | 11.1% |
| 3 | 神奈川県 | 279 | 10.2% |
| 4 | 千葉県 | 233 | 8.5% |
| 5 | 大阪府 | 224 | 8.2% |
| 6 | 茨城県 | 206 | 7.5% |
| 7 | 群馬県 | 138 | 5.0% |
| 8 | 静岡県 | 114 | 4.2% |
| 9 | 栃木県 | 96 | 3.5% |
| 10 | 岐阜県 | 90 | 3.3% |
| その他 | 438 | 16.0% |
上位の顔ぶれは、警察庁の認知件数とほとんど同じです。東京都は2024年に107件(4.3%)で7位でしたが、2025年は上位10に入っていません。

盗まれた車の車名。ランドクルーザーが30.0%
2025年に車両本体の盗難で保険金が支払われた2,746件を、車名で数えた上位10は次のとおりです。
| 順 | 車名 | 件数 | 割合 |
|---|---|---|---|
| 1 | ランドクルーザー | 825 | 30.0% |
| 2 | アルファード | 240 | 8.7% |
| 3 | プリウス | 204 | 7.4% |
| 4 | クラウン | 136 | 5.0% |
| 5 | レクサスRX | 113 | 4.1% |
| 6 | レクサスLX | 109 | 4.0% |
| 7 | ハイエース | 58 | 2.1% |
| 8 | レクサスLS | 53 | 1.9% |
| 9 | ハリアー | 43 | 1.6% |
| 10 | ヴェルファイア | 37 | 1.3% |
調査の注記では、ランドクルーザーにはプラドを含みます。上位10車種の合計は1,818件で、全体の66.2%でした。

特定の車種への集中は年々強まっている
| 年 | ランドクルーザー | 上位10車種の割合 |
|---|---|---|
| 2023年 | 383件(14.7%) | 55.7% |
| 2024年 | 688件(27.5%) | 64.3% |
| 2025年 | 825件(30.0%) | 66.2% |
ランドクルーザーは2023年の383件から2025年の825件へ、約2.2倍になりました。上位10車種の割合も55.7%から66.2%へ上がっています。ここに挙がっている車に乗っている人ほど、対策を重ねる意味が大きいと言えます。ただし、上位10に入っていない車も全体の3割以上あり、ほかの車なら安心というわけではありません。

6割は夜10時から朝9時のあいだ
| 時間帯 | 割合(2025年) |
|---|---|
| 日中(9〜17時) | 27.1% |
| 夜間(17〜22時) | 7.3% |
| 深夜〜朝(22〜9時) | 60.2% |
| 不明 | 5.4% |
深夜から朝にかけての割合は、2023年58.4%、2024年59.3%、2025年60.2%と少しずつ上がっています。持ち主が寝ていて車を見ていない時間に、自宅の駐車場から盗まれる形が多いと考えられます。夜の駐車場を明るくし、カメラで見えるようにしておく対策は、この時間帯に効くものです。

古い車も新しい車も盗まれている
2025年に盗まれた車の年式を見ると、2015年以前の車が1,227件(44.7%)でした。残りの55.3%は2016年式以降です。2024年式だけでも208件(7.6%)あり、2023年式は176件(6.4%)、2025年式も46件(1.7%)ありました。新しい車だから防犯機能が付いていて安心、とは言えない数字です。

1件あたりの支払保険金は297.5万円
| 年 | 支払件数 | 1件あたりの支払保険金 |
|---|---|---|
| 2023年 | 2,597 | 237.9万円 |
| 2024年 | 2,499 | 281.5万円 |
| 2025年 | 2,746 | 297.5万円 |
車両本体の盗難で支払われた保険金は、1件あたり2023年の237.9万円から2025年の297.5万円へ、2年で59.6万円増えました。車上ねらいも1件あたり2023年64.8万円、2024年65.2万円、2025年72.9万円と増えています。車両保険に入っていなければ、この金額をそのまま失うことになります。

警視庁が挙げる主な手口
警視庁の防犯ページとチラシは、自動車盗の手口を大きく3つに分けて説明しています。ここでは、対策を選ぶために必要な仕組みだけを紹介します。
| 手口 | 警視庁の説明(要約) | 施錠していても狙われるか |
|---|---|---|
| 鍵の付けたまま・無施錠 | 持ち主が車を離れた隙を狙う | 施錠とキーの持ち出しで防げる |
| リレーアタック | スマートキーの電波を特殊な機器で受けて中継し、鍵を開ける | 狙われる |
| CANインベーダー | 特殊な機器を車の配線につなぎ、ドアロックを解除してエンジンを始動させる | 狙われる |
チラシの見出しは「油断した隙を狙ってくる!」と「ちゃんと施錠しても狙ってくる!」の2つです。1つ目はキーを抜いて施錠すれば防げますが、2つ目のリレーアタックとCANインベーダーは、施錠していても狙われます。だからこそ警視庁は、「ハンドルロックやタイヤロックなどを活用し、物理的に盗難が困難になるような一手間加えた対策をとりましょう。」と書いています。

リレーアタックの対策。スマートキーの電波を止める
警視庁の説明はこうです。「リレーアタックとは、自動車のスマートキーから常に出ている微弱電波を特殊な機器で受信・増幅させ、リレーのように繋いで自動車の鍵を開ける盗難手口です。」スマートキーは、持ち主が車に近づいたことを車に知らせるために、ふだんから弱い電波のやりとりをしています。その電波が家の中から届いてしまうと、キーが手元になくても車が「持ち主が近くにいる」と受け取ってしまいます。
つまり対策の考え方は単純で、キーから電波が出ない、または外に届かない状態にしておくことです。警視庁は3つの方法を挙げています。
- スマートキーの電波を遮断する市販の防犯ケースを利用する
- スマートキーを金属缶の中に入れたり、アルミホイルで包んだりして密閉し、電波を遮断する
- スマートキーに「節電モード」がある場合は設定し、電波の受信待機を停止する

節電モード。車種によって設定できないものもある
トヨタ自動車のよくある質問は、「スマートキーを「節電モード※」に設定し電波を遮断することで、リレーアタック対策に有効です。」と書いています。同時に「車種により、節電モードの設定ができないものもあります。」とも書いています。設定できるか、どう設定するかは、車の取扱説明書かディーラーで確かめてください。
節電モードを設定しているあいだは、キーを持って近づくだけで解錠する機能が使えません。解除するには「スマートキーのいずれかのボタンを押してください。」とあります。毎晩寝る前に設定し、朝は乗るときにボタンを押す、という使い方になります。
見落としやすいのがスペアキーです。トヨタは「お持ちのキー全てで実施いただくか、普段使用されていないキーは電池を抜いて保管ください。」と書いています。ふだん使うキーだけ対策して、引き出しのスペアキーは電波を出したまま、ということがないようにしましょう。
金属缶に入れるときの3つのポイント
節電モードの設定がない車種やカードキーについて、トヨタは「キーを金属製の缶などに入れ電波を遮断するのも有効です。」と書いています。入れ方にもポイントがあります。
- 「本体と蓋の接触面積が大きい金属缶(隙間から空気や水が漏れないような金属缶)の方が、電波遮断効果が大きく有効な対策となります。」
- 「スマートキーを入れた金属缶は、屋内で壁から2m以上離れた位置に保管するとより効果的です。」
- キーを入れた缶を車内に持ち込んでエンジン始動の操作をすると、缶が電波を遮断できているかを簡単に確かめられる。遮断できていればエンジンは掛からない
缶ならどれでも同じ、ではありません。ふたの閉まり方がゆるい缶では、電波が漏れることがあります。買った防犯ケースや家にある缶を使う前に、一度この方法で確かめておくと安心です。


トヨタは最後に「あくまでリレーアタックに対する有効な対策であり、盗難防止を保証するものではありません。」と書いています。電波を止める対策は、リレーアタックという1つの手口への対策です。CANインベーダーのように電波を使わない手口には効きません。次の節の物理的な対策と組み合わせてください。
CANインベーダーの対策。物理的に動かせなくする
警視庁によると、CANインベーダーは「特殊な機器を使用して、車の左前部付近に設置された配線につなぐ ことでドアロックを解除し、エンジンを始動させる盗難手口です。」スマートキーの電波を使わないので、キーを金属缶に入れていても防げません。
警視庁が挙げている対策は次の3つです。
- タイヤロックやハンドル固定装置を取り付ける
- 防犯機能の追加などについて、ディーラーなどに相談してみる
- 車両の左側面に犯人が作業できるスペースを作らないようにする
1つ目は、ドアが開いてエンジンが掛かっても、車を動かしにくくする対策です。2つ目は、車種ごとに用意されている防犯機能をディーラーに聞いてみることです。3つ目は停め方の工夫で、自宅の駐車場なら車の左側を壁や塀に寄せて止めるなど、作業する場所を与えない配置を考えます。

警視庁が紹介する5つの盗難防止装置
警視庁は「ハンドル固定装置、警報装置、イモビライザー(電子キーの照合でエンジンを作動させる装置)等の複数の防犯対策を取りましょう。」と書き、防犯ページで5つの装置を紹介しています。
| 装置 | 警視庁の説明 | 選ぶときの見方 |
|---|---|---|
| タイヤロック | タイヤに装着し固定する装置 | 不正な解錠が難しいディンプルキー付きの物を推奨 |
| ハンドルロック | ハンドルに装着し固定する装置 | 不正な解錠が難しいディンプルキー付きの物を推奨 |
| 警報装置 | ガラスの破壊やこじ開け等の衝撃を感知した場合に警報音を発する装置 | 周りに気づかせる |
| GPS機能付位置探査装置 | 車両が盗まれた場合でもGPS機能で位置の探査が可能な装置 | 盗まれた後に探す |
| イモビライザー | エンジンキーに内蔵された電子チップのIDコードと車両側コントローラーのIDコードを照合してエンジンを始動させる装置 | 車に付いているか確かめる |
5つは役割が違います。タイヤロックとハンドルロックは「動かせなくする」、警報装置は「周りに知らせる」、GPS機能付位置探査装置は「盗まれた後に探す」、イモビライザーは「正しいキーでなければエンジンが掛からない」ための装置です。警視庁は「複数の」防犯対策を取るよう書いています。1つの装置だけでは、それを破られると次の備えがありません。役割の違うものを重ねるほど、盗むのに時間と手間がかかる車になります。

装置を選ぶときの3つの見方
- いま乗っている車に、イモビライザーなどの防犯機能がもともと付いているかを、取扱説明書かディーラーで確かめる
- 足りない役割を足す。動かせなくする装置がなければタイヤロックかハンドルロック、周りに知らせる装置がなければ警報装置、という順に考える
- タイヤロックとハンドルロックは、警視庁の推奨どおりディンプルキー付きのものを選ぶ
毎日使う車に毎回タイヤロックを付けるのは手間がかかります。夜だけ、長く停める日だけなど、続けられる使い方を決めておくことも大切です。先に見たとおり、盗難の6割は夜10時から朝9時のあいだです。夜だけでも付ける意味はあります。
どこに止めるか。自宅と自宅以外の駐車場
警視庁は駐車場について、2つの場面に分けて書いています。
- 「自宅の駐車場には防犯カメラやセンサーライトを設置しましょう。」
- 「自宅以外に駐車する際は、防犯カメラや照明設備等、防犯対策が講じられている駐車場を選びましょう。」
日本損害保険協会の基本5箇条も、「見通しがよく照明設備の整った駐車場を利用する」ことを挙げています。暗くて人目のない場所は、作業する時間を与えてしまいます。自宅の駐車場なら、夜に人や車が近づくと点くセンサーライトと、駐車場全体が映る防犯カメラの組み合わせが基本です。


防犯カメラの設置にかかる費用の目安はホームセキュリティと防犯カメラの費用の記事に、防犯カメラやセンサーライトの購入に使える区市町村の補助金は東京都と区市町村の防犯の補助金の記事にまとめています。住んでいる区の補助金の対象になるかを、先に確かめておくと費用を抑えられることがあります。
車上ねらいを防ぐ
警視庁の「車上ねらい」の防犯対策によると、車上ねらいは「自動車等の積荷や車内の金品を窃取するもの」です。都内では令和7年に1,759件あり、自動車盗の164件よりずっと多い被害です。
| 順 | 区市町村 | 車上ねらい(令和7年) |
|---|---|---|
| 1 | 江戸川区 | 128 |
| 2 | 足立区 | 116 |
| 3 | 大田区 | 81 |
| 4 | 杉並区 | 79 |
| 5 | 江東区 | 78 |
| 6 | 葛飾区 | 69 |
| 7 | 練馬区 | 66 |
| 8 | 板橋区 | 63 |
| 9 | 八王子市 | 62 |
| 10 | 豊島区 | 60 |
警視庁の対策は3つです。「車両から離れる時は、短時間でも鍵を必ず抜き、窓は完全に閉めてドアロックをしましょう。」「車内や自転車のカゴ等に貴重品等を置いたままにしないようにしましょう。」「貴重品等を置いたまま路上に放置駐車・駐輪をしないようにしましょう。」
日本損害保険協会も、「外から丸見えの車内にかばん、現金やカード、貴重品などを置いたままでは、車上ねらいを誘っているようなもの。」と書いています。車を降りるときは、座席や足元に何も残っていないかを一度見回す習慣をつけましょう。

損保協会の基本5箇条
日本損害保険協会は、2003年から10月7日を「盗難防止の日」と定めています。協会が示す「愛車を『盗難』『車上ねらい』から守る基本5箇条」は次のとおりです。
- 1. イモビライザなどの盗難防止機器を装着する
- 2. 車内に貴重品、カバン、服などを置かないようにする
- 3. 見通しがよく照明設備の整った駐車場を利用する
- 4. 短い間でも車から離れるときは必ずキーロックする
- 5. カーナビの盗難対策をする
ここまで見てきた警視庁の対策と、ほとんど重なっています。キーを抜いて施錠する、車内に物を置かない、明るい駐車場を選ぶ、盗難防止機器を付ける。どれも特別なことではありませんが、1つずつ確かめると抜けている項目が見つかるはずです。

盗まれたときにすること
日本損害保険協会は、「万一、車を盗まれてしまったときは、直ちに警察に届け出てください。車両保険に入っていれば、保険会社に連絡することも必要です。早ければ早いほど盗難車が発見されるチャンスが多くなります。」と書いています。
協会は、「盗難車が他の犯罪に使われるケースもあり、自分の車が犯罪に使われないためにも、直ちに届け出ることが重要です。」とも書いています。車がないと気づいたら、まず110番か最寄りの警察署へ連絡し、そのあと保険会社へ連絡します。GPS機能付位置探査装置を付けている場合は、その情報も警察に伝えましょう。

車の盗難対策チェックリスト
最後に、この記事の内容を確認用にまとめます。
- 車を離れるときは、短い時間でもキーを抜いてドアロックしている
- スマートキーとスペアキーの両方で、節電モードか金属缶などで電波を止めている
- 金属缶を使う場合は、キーを入れたまま車内でエンジンが掛からないことを確かめた
- タイヤロックかハンドルロックを使っている。選ぶならディンプルキー付き
- 自宅の駐車場に防犯カメラかセンサーライトがある
- 車の左側に人が作業できるすき間を作らない停め方をしている
- 車内に貴重品やかばんを置いていない
- 防犯機能の追加をディーラーに相談した
- 車両保険の内容と、盗まれたときの連絡先を確かめてある

よくある質問
車の盗難は増えていますか?
全国の認知件数は、令和6年の6,080件から令和7年の6,386件へ5.0%増えました。令和8年1〜8月は2,547件で、前年の同じ時期より45.8%少なくなっています(暫定値)。東京都は令和6年の223件から令和7年の164件へ減っています。
東京は車の盗難が多いですか?
令和7年の東京都の自動車盗は164件で、都道府県別では11番目でした。全国の2.6%です。ただし、車の中の物を盗む車上ねらいは都内で1,759件あり、こちらのほうがずっと身近な被害です。
盗まれやすい車はありますか?
日本損害保険協会の調査では、2025年に保険金が支払われた車両盗難のうち、ランドクルーザーが825件(30.0%)で最も多く、アルファード、プリウス、クラウンと続きます。上位10車種で66.2%です。
スマートキーを金属缶に入れれば安心ですか?
リレーアタックへの有効な対策ですが、トヨタは「盗難防止を保証するものではありません」と書いています。ふたの閉まり方がゆるい缶では電波が漏れることもあります。キーを入れたまま車内でエンジンが掛からないことを確かめ、タイヤロックなど物理的な対策と組み合わせてください。
CANインベーダーはスマートキーの対策で防げますか?
防げません。CANインベーダーはスマートキーの電波を使わず、車の配線に機器をつなぐ手口です。警視庁は、タイヤロックやハンドル固定装置を付ける、ディーラーに防犯機能の追加を相談する、車の左側に作業できるスペースを作らない、の3つを勧めています。
新しい車なら盗まれにくいですか?
そうとは言えません。2025年に盗まれた車のうち、2016年式以降が55.3%でした。2024年式だけでも208件あります。年式にかかわらず、対策を重ねることが大切です。
盗まれるのはどの時間帯が多いですか?
2025年に保険金が支払われた車両盗難の60.2%は、夜10時から朝9時のあいだでした。日中(9〜17時)は27.1%です。夜の駐車場の照明と防犯カメラ、夜だけでもタイヤロックを付けるといった対策が、この時間帯に効きます。
盗まれたらまず何をすればいいですか?
すぐに110番か最寄りの警察署に届け出て、車両保険に入っていれば保険会社にも連絡します。日本損害保険協会は、早ければ早いほど盗難車が見つかる機会が増え、自分の車が他の犯罪に使われるのを防ぐことにもつながると書いています。
相談先
| 相談したいこと | 相談先 |
|---|---|
| 車が盗まれた | 110番、または最寄りの警察署 |
| 車両保険の手続き | 加入している保険会社 |
| いまの車の防犯機能・機能の追加 | 購入したディーラー |
| 自動車盗の防犯対策 | 警視庁(電話 03-3581-4321 警視庁代表) |
自宅まわり全体の防犯は侵入窃盗の手口と空き巣対策、自転車の鍵の選び方や防犯登録は自転車の盗難対策の記事で扱っています。
出典一覧
- 警察庁「犯罪統計資料(令和7年1〜12月分【確定値】)」
- 警察庁「犯罪統計資料(令和8年1〜8月分)」(暫定値)
- 警察庁「令和7年の犯罪情勢」(PDF)
- 警視庁「東京の犯罪(令和7年版)」(2026年5月14日更新)
- 警視庁「区市町村の町丁別、罪種別及び手口別認知件数」(令和6年・令和7年・令和8年1月〜8月)
- 警視庁「『自動車盗』の防犯対策」(2024年9月12日更新)
- 警視庁「自動車の盗難被害にご注意ください」(PDF)
- 警視庁「『車上ねらい』の防犯対策」(2024年9月6日更新)
- 日本損害保険協会「第27回 自動車盗難事故実態調査結果」(PDF)
- 日本損害保険協会「自動車盗難対策」(2026年3月4日更新)
- 日本損害保険協会「愛車を『盗難』『車上ねらい』から守る基本5箇条」
- トヨタ自動車「リレーアタックによる車両盗難に対する応急対策はあるか?」
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